監視人を監視する: 発展する監査人の役割

By Rachael Israel、Jagriti Mohata, S&R Associates
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ティヤム、IL&FS、そして最近ではリライアンス・キャピタルを辞任した監査人のケースなど、インド企業界に衝撃を与えたさまざまな金融不祥事を受けて、監査人、独立取締役、信用格付機関などのコーポレートガバナンスのさまざまな監視役に対し、ますます厳しい監視の目が注がれています。計算書類が会社の状況の真実かつ公正な概観を示すようにすることには会社の経営陣が最終的な責任を負う一方で、監査人も、当該計算書類の正確さと信頼性を評価する上で、重要な役割を果たします。

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Rachael Israel
パートナー
S&R Associates

監査人が監査対象の会社に対して儲けの大きい監査以外の業務(NAS)を提供している場合には、監査人と会社の関係は利害相反となる可能性があり、監査人の独立性と、さらには監査の品質を損なうおそれがあります。2013年会社法は、監査人による監査依頼者(その持株会社、子会社を含む)への内部監査、会計、投資顧問、投資銀行業などの業務提供を禁止することにより、ある程度これらの問題に対処しました。しかし、監査事務所は、会社の取締役会や、場合によっては取締役会の監査委員会の承認を得て、税務や不特定の顧問業務などのNASを自由に提供することができます。

最近の報道によると、企業省は、禁止対象NASのリスト拡大やNASからの収益に対する上限の設定を含めて、NAS関連規則をさらに厳しくすることを検討しています。

株式資本、取引高、借入金または預金がそれぞれ一定の上限額を超過する上場および非上場の公開会社は、監査人の独立性および業務遂行に加え、監査プロセスの効果を調査および監視するために、監査委員会を設置する義務があります。監査委員会は、過半数(上場会社の場合には少なくとも3分の2)が独立取締役から構成され、取締役会への計算書類の提出前に会社の内部統制システムに関する監査人の意見を求め、監査結果を協議する機会があります。

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Jagriti Mohata
アソシエート
S&R Associates

さらに、上場会社ならびに大手の公開および非公開会社は、会社の職務および活動の内部監査を実施して監査委員会に報告する内部監査人を任命する必要があります。上場会社の監査委員会は、詐欺、不正行為、または内部統制システムの重大な不具合の疑いがある事項についての内部監査人による調査の結果を審査し、当該事項を取締役会に報告する責任を負います。

監査人は、経営陣が要請された情報、説明および帳簿閲覧機会の提供に協力することに、大きく依存せざるを得ません。監査のタイミングに依り、監査人はステークホルダーを経営陣の行為から保護することができない場合があり、また事件が起こった後でしか、問題を指摘することができない場合があります。潜在的な問題をあらかじめ指摘するための必要な手段を持つ、真に独立した監査委員会であれば、強力な内部監査プロセスと組み合わせることで、会社の経営陣とステークホルダーとの間の溝を埋める役割を果たすことができるでしょう。

企業省は、2018年10月に国家金融報告局(National Financial Reporting Authority:NFRA)を設置しました。会計および監査基準の遵守を監視および強制すること、ならびに上場会社および他の特定の会社の監査業務の品質を監督することに加えて、NFRAには、登録勅許会計士および会計事務所の職業上その他の不正行為を調査する権限もあります。NFRAには、個人の場合は受け取った料金の5倍、事務所の場合には10倍を上限とする罰金を科す権限のほか、6か月から10年までの期間の営業停止処分を行う権限があります。

不正行為を調査し、罰金を科すNFRAの権限は、デリー高等裁判所で現在係属中の請願書により問われています。IL&FSその他同様の案件で不正行為が立証された場合のNFRAの罰金の重さは、現時点では不明です。

効果的な監視人としての役割を果たすため、そして規制監督が拡大されたことからも、監査人は、より一層の厳格さを監査実務に導入する必要があるでしょう。(法律、会計基準、監査規則、および2016年会社(監査人報告)命令(Companies (Auditor’s Report) Order, 2016)に基づいて)監査人の報告書で開示を求められる事項は、チェックボックス式の遵守アプローチで対応すべきではありません。それよりむしろ、監査人は、関与の早い段階で問題を警告し、内部統制を強化する方法を提案するために、監査委員会との開かれた連絡手段を設けるべきです。

Rachael Israelは、ニューデリーとムンバイに事務所を構える法律事務所、S&R Associatesのパートナーであり、Jagriti Mohataはアソシエートです。

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S&R Associates
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ニューデリー: 電話番号: +91 11 4069 8000
ムンバイ: 電話番号: +91 22 4302 8000
執筆者Eメール:
risrael@snrlaw.in | jmohata@snrlaw.in

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