SEBIのインサイダー取引規則に基づく情報共有

By Tanya Aggarwal, Lakshmi Pradeep, S&R Associates
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2015年インド証券取引委員会(インサイダー取引禁止)規則(PITR)は、合法的な目的、職務の遂行または法的義務の履行を推進するためである場合を除き、価格に影響を与える未公開情報(UPSI)を、いかなる人に対しても伝達することを禁止する。

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Tanya Aggarwal
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会社は、その取締役会の情報に基づいた意見により、提案された取引が会社の最善の利益になると考える場合、UPSIへのアクセスを提供することができる。ただし、それが公開買付取引ではない場合、UPSIは、提案された取引が実行される遅くとも2取引日前に一般に入手可能な状態にしなければならない。この点に関する実務上の問題には、会社の最善の利益の決定、ならびにクレンジングアナウンスメント(注:上記の一般への公表)のタイミングおよび内容の決定が含まれる。PITRは、「マーケットサウンディング」(すなわち、潜在的投資家の興味の程度を測るための情報の伝達)も、明示的には禁止していない。

インド証券取引委員会(SEBI)は、2019年4月1日に施行される改正PITRを公布した。これは、公正市場行動委員会(Fair Market Conduct Committee)の勧告を受け入れたものであり、上場企業の取締役会および仲介者に、「合法的な目的」に関する方針を定め、(提案された取引自体ではなく)デューデリジェンスのためのUPSIの共有が会社の最善の利益かどうかを決定するよう求めるものである。例示すると、「合法的な目的」とは、とりわけ金融機関、顧客および法律顧問との通常業務過程におけるUPSIの共有を含むものと定義される。各会社は、適切な内部統制を伴うUPSI受領者のデジタルデータベースを維持する必要がある。

コーポレートガバナンス委員会による2017年10月レポートは、戦略的取引ではしばしば、一般により大きな法律上の責任を負うプロモーター、およびノミニーディレクター(注:名目上の取締役)を通して情報権を認められる重要株主(プライベートエクイティ投資家など)からの支援を必要とすると述べている。プロモーターが永久的な内部者と同種であると認められる一方で、プロモーターおよび重要株主への情報の伝達は、それを合法化する「正規の手段の不在により、『陰』で行われている」。

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したがって、委員会は、プロモーター、およびノミニーディレクターのいる株主との情報の共有を可能にする上場規則の改正を提案した。これには、受領者による秘密保持の義務および約束ならびに特定の状況のもとで重要な情報へのアクセスを取り消す会社の権利を定める、「情報へのアクセスに関する契約」の締結が含まれる。

しかし、SEBIは、「情報へのアクセスの付与について一部の株主を他の株主より優遇することは、広範囲に影響を及ぼし、それゆえ望ましくない」と述べて、これを拒否した。

EUの市場濫用規則(Market Abuse Regulation)においては、会社は内部情報について、即時の開示が会社の正当な利益を損なう可能性が高いこと、開示の遅れが公衆の判断を誤らせる可能性が低いこと、および情報の秘密保持を確実にできることを条件として、内部情報の一般への開示を遅らせることができる。「正当な利益」は定義されていないが、欧州証券市場監督局(ESMA)が発行した説明的なリストは、合併、買収などを含めている。内部情報は、秘密保持義務を負い、かつ、自らの職務を遂行するために当該情報を必要とする、選ばれた人(例えば、主要株主、会社が取引の交渉を行っている相手)に対して開示することができる。ESMAは、資本調達の場合に有益な、マーケットサウンディングについての実務ガイダンスも出している。

米国では、レギュレーションFD(公平開示)は、会社の取締役と株主との間の私的な伝達を禁止していない。ただし、重要な非開示情報に基づいて株主が会社の有価証券を取引することが合理的に予見可能な場合に、取締役が、当該情報を当該株主に開示しないことを条件とする。社外取締役と株主との間の私的な伝達もまた、株主が秘密保持に明示的に同意する場合には、禁止されていない。証券取引委員会は、株主との議題を事前に明確にすることや、会社の弁護士を会議に参加させることなど、違反を回避するための方針および手順の導入を推奨している。

PITRの最近の改正は歓迎すべき動きであるが、SEBIは、以下についても検討することができよう。(1) 合法的な目的に関する上場企業の方針の要件について、さらなるガイダンスを提供すること(例えば、秘密保持やスタンドスティルの約束の期間、クレンジングアナウンスメントの形態および方法)、(2) 取締役が、当該取締役を指名した株主とのUPSIの共有が可能であることを明確にすること、ならびに (3) マーケットサウンディングに関するガイダンスおよび遵守基準を提供すること。

Tanya Aggarwalは、S&R Associatesのパートナーであり、Lakshmi Pradeepはアソシエイトである。

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